【御礼】第5回読者賞を終えて
翻訳ミステリー大賞の授賞式およびコンベンションがおこなわれて2日が経過しました。22日、土曜日の正午ごろに羽田に着いて、そのまま会場入り、いろいろな企画を楽しみつつ、読者賞の発表を終えて、懇親会~二次会まで参加させていただいてからホテルに入り、翌朝は9時半ごろの飛行機に乗って福岡に帰ってきて所用をこなし、ようやく落ち着いたところでこの文章を書き始めています。
第5回翻訳ミステリー読者賞の発表に際して、178票もの票を投じてくださった読者のみなさま、そして、毎年こころよく発表の場を提供してくださっている、翻訳ミステリー大賞シンジケート事務局のみなさま、Twitterなどで拡散していただいたみなさま、ちょっとでも読者賞のことを気に留めていただいたおひとりおひとりに、心から感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。
そして、見事に第1位の座を射止めた『その雪と血を』の作者、ジョー・ネスボさん、翻訳者の鈴木恵さん、出版社である早川書房のみなさま、本当におめでとうございます。
今回は、なんと71作品にみなさまの票が投じられました。順位も去ることながら、この作品数そのものが、読者賞の隠れた価値であると私はいつも感じています。どうか読者のみなさま、この結果をごらんになって、まだ知らない作品があったならば、どうぞ積極的に手に取ってください。それらの作品は、きっとみなさまに新しい楽しみをもたらしてくれることでしょう。
一方、翻訳ミステリー大賞に目を向けると、こちらもなんと『その雪と血を』が受賞するという結果になりました。読者賞との同時受賞は、昨年の『声』(アーナルデュル・インドリダソン/柳沢由実子 東京創元社)に続き、2年連続となったわけですが、この結果については、みなさまいろいろと思うところがあるかと思います。私自身、一時は「読者賞の独自性を出すためには、大賞と同時受賞になるのはあまり望ましくない」というふうに考えたこともあります。しかし、今はまったく逆で、発表の時にも申し上げましたが、大賞と読者賞が同じ作品になる、つまり、作る側と読む側が同じ作品を推すという今の状況は、ジャンルにとってとても幸せな状況だと言えるのではないかと思っています。なぜならこのことは、翻訳ミステリーの出版にかかわっている人たちが「おもしろい」と思って出している数々の作品が、読者の側にとっても本当におもしろいものなのだということを、端的にあらわしているということに他ならないからです。これこそ、読者の側からジャンルを支えたいという、読者賞本来の目的に適ったことだと、今は考えています。
翻訳ミステリー出版にかかわるみなさま、どうかこれからも、おもしろい作品を私たちに提供してくださいますように。私たち読者も、それに応えるよう、精一杯読んでいきたいと思います。
読者賞が、翻訳ミステリーを愛するすべてのみなさまに愛されるよう、これからも精一杯がんばっていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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