大塚国際美術館『インフェルノ』特別読書会 in 徳島 レポート(下)(執筆者・関西読書会世話人ズ5人組)
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『インフェルノ』読書会
大塚国際美術館 別館2Fオープンスペース 参加者30名
トーク会場の机をささっとロの字に並べ替えると、いつもの読書会スペースが館内に出現! 美術館ボランティアのかたも飛び込みで参加してくださり、総勢30名の大きな読書会が越前氏の司会でスタートです。徳島にはじめて来た人もいれば、帰郷を兼ねて参加した人も、大塚美術館にぜひ来てみたくて読書会が願ってもない機会になったという人もいました。各地翻ミス読書会からの遠征もありましたし、美術館のサイトで知って申し込んだかたも多く、いつも持ち寄り形式の読書会をやってて課題書のある読書会を体験に、という人もいたりと、じつに多種多様な顔ぶれ。みなさんギャラリー・トークも楽しまれたようで、次はオペラグラスを持ってまた来ます、という声も聞かれました。
さて課題書、「べつに作品を褒めなきゃいけないわけじゃありませんからねー」という越前氏の前フリにすっかり調子づいた参加者面々、初読書会の人も多いはずなのに、そんな気配が感じられないほどみなさん遠慮のかけらも無し(笑) 突っ込み入れまくりのフルスピードで進んでいきます。前フリ、要らなかったんじゃ?
【数々のどんでん返しにすっかり騙されたという声多数。楽しんだ人もいれば、そうでない人も?】
「今回のどんでん返し、多すぎ!」
「二転三転についていくのが、つらくなってきました」
「誰がいい人で誰が悪い人なのか、もうわかんなくなっちゃった」
(浦)どの人も怪しくて、惑わされましたよね。でも最後には、そうだったのか(ポン)って感じでした。
(影)読み終わった後、最初から読み直そうかと思ってしまいました。
【なかでも一番の衝撃は、フィレンツェからヴェネツィアに向かう電車の回想シーンだった、とか】
「フェリスは出川哲朗イメージで読んでたので、あのミスリードにのけぞりました。ウソ、ヤメテー!って」
「そこであんな想像したの、わたしだけかと心配に。ほかにもいらっしゃって安心しました」
「えっ、あそこでは、フェリス、男装だったのか、って思ったんだけど……」
(浦)ここはミスリードされた人とそうでない人が、けっこうはっきりわかれてましたよね。わたしはイケメンイメージだったので、あの場面は楽しめました(笑)
(小)同じ場面がまた出てきて、乱丁かとびっくりされたかたも。
(飯)勝手にキャラを想定しすぎると、ときにとんでもない事になると思い知ったわたしです(汗)てか、コロリと騙されちゃって悔しい〜。
(影)だまされたのが自分だけじゃなかったのでほっとしました。いや、勝手に思い込んでただけなんだけど。
【トークショーにも解説があった、シリーズ作品すべてに登場する秘密結社だが、今回は案外不評・・・?】
「大機構の総監が案外尻すぼみでちゃちかった。最後なんて、なんか気の毒だったし」
「最初はどんだけ大きい、国際的な組織かと期待したんだけどねえ」
(浦)少しぐらいは実在の組織をアレンジしたのかと思ったら、越前さんからは「100%フィクションです」とばっさり。
【スピーディな展開、舞台となった名勝地について】
「フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールと、走りづめに走りまわってましたね」
「とくに後半の展開はめまぐるしかった」
(浦)ガイドブック的という意見もありましたが、今回はほんとにいろんな都市をまわりますよね。
(小)ヴェネツィアなんてあっという間。
「ラングドンは、3日間飲まず食わずかと思っていたら、読み直すとしっかり電車のなかでサンドイッチ食べてました。してやられた」
「(越前)シリーズ全般に、食べる場面はあまり出てこないですね」
「新婚旅行で行ったフィレンツェの〈五百人広間〉を血で汚されて、ショックでした」
「あそこは行ったことがあるけれど、天井はそれほど高くない。そもそも布貼りじゃなくて、普通の天井です」
「(越前)そうなんだよね。落ちるのに3秒もかからないし、死なないね」
【ラングドンへのだめ出しも。(いやこれは愛情表現か)】
「記憶喪失のせいもあると思うが、今回はちょっと間抜けなキャラになってるみたい」
「だんだん歳に勝てなくなってきてるよねぇ。シエナのこと、歳が離れすぎているとか、妙な断り方してるし」
「ミッキーマウスの時計に執着しすぎでしょ」
(浦)『ダ・ヴィンチ・コード』と同じ主人公だと気づかなかったという人までいましたね。
(吉)ラングドン、みんなに愛されてますね。あんまり老けこまず、これからもがんばっていただきたい。
【女性ヒロインの活躍がめだちました。今回はヒロインがふたり?】
「シエナ、かっこいいよね」
(小)IQ208、女優だったこともある金髪の女性医師です。
「キャラクター的にはシンスキー(WHO事務局長)が好き。彼女の喪失感が印象に残った。この作品の大きなテーマにも繋がるし」
「どうしてヒロインをふたりにしたのかな? 対比のため?」
(吉)どうしてだろう? でも、60代素敵女性(シンスキー)の登場はなんかいい感じでしたね。
【ラストについては、モヤモヤ感が残った人が多かった模様。さまざまな意見が出るも、残念ながらネタバレになるので割愛】
(浦)大騒ぎしたわりには、解決がないとかするどいツッコミもありましたね。
(小)このテーマだと、解決はこれしかないでしょうという肯定派の人もいましたね。
(飯)ラスト、そこだけ星新一風味でけっこう好きですが、ミステリ読みにとっては「風呂敷畳めよ!」かも。
【〈ダンテ交響曲〉がクライマックスでずっと演奏されている。「ダン・ブラウンは音楽通?」の質問に】
「(越前)ダン・ブラウンは歌手でしたから」
(小)ほんとなんですかって、ここでまたびっくりしました。いやあ、いろんな引き出しを持っていますね、ダン・ブラウン。
大人数だったうえに閉館まで1時間半と時間が短く、まったく喋りたりないままにお開きとなってしまいましたが、徳島でのスペシャルな読書会、まずは大成功だったのではないでしょうか。いやぁ、楽しかったです!
当日は徳島新聞から取材が入りました。翌日の朝刊に掲載された記事がこちらです。
(小)やっぱりジョージ・クルーニーが……
(浦)ここから読書会に興味を持ってもらえるといいなぁ。今回は読書会初心者の方が何人かいらして新鮮でした。
美術館閉館の心地よい音楽に送られて、お待ちかねの二次会へ移動。
(飯)お昼にあんなに食べたのにお腹ペコペコ〜。いざ、二次会のお店『鯛丸』へ!
(小)歩いてすぐのお店でよかった。行き倒れなくてすみます。
お料理は鯛づくし。お酒もすすみます。
(吉)窓の外には絶景が広がっています。盛りだくさんの一日、おつかれさまでした〜。
(浦)鳴門のわかめもありましたね。どれもおいしかったです♪
(影)ともかく、体も心もおなかいっぱいな一日でした。
(飯)金髪の女性を見かけた気がするんですが……シエナ?
(小)あれっ、すだち酎のせいかと……。
—— 完 ——
by 関西読書会世話人ズ(飯干京子、浦野壽美子、影山みほ、小佐田愛子、吉井智津)
大塚国際美術館公式サイト
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