第13回東東京読書会レポート(執筆者・東京創元社S)





みなさまこんにちは。だんだん空気が秋めいてきましたね。今回は去る9月3日に開催された第13回東東京読書会のようすをお伝えしたいと思います。


さて、第13回東東京読書会の課題書はD・M・ディヴァイン著、中村有希訳の『跡形なく沈む』(創元推理文庫)。本格ミステリ・ベスト10の海外篇で何度も1位に輝いている技巧派の作家です。とはいえ今回の参加者の方の半数以上が、「ディヴァインの作品を初めて読んだ」ということでした。


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まずはネタバレにならないご感想をざっと紹介いたします。


「典型的なスモールタウンが舞台になっており、複雑な人間関係を読み解いていくのがほんとうに楽しい」

「この作家の本を初めて読んだけどすごく面白かった。犯人がめちゃくちゃ意外で、最後までまったくわからなかった」

「プロットだけ取り出すと実は身も蓋もない話なのだが、サスペンスフルな本格ミステリに仕立て上げられているのが見事」

「犯人がぜんぜんわからなかった!」

「家族旅行中に読み始めたが、家族そっちのけで一気読みしてしまった」

「キャラクターがすごく面白くて、男性がどいつもこいつもダメ人間なのだが、女性は好印象だった」

「タイトルの意味がわかったときの『そうか!』というカタルシスがすごい」

「とても面白かったが、ミステリの好きな人が煽ってほしい部分をさらっと書きすぎているような気もする」

「誰一人登場人物を好きになれない本もめずらしい」

「いろいろな人物の視点で書かれているからか、犯人がとにかく意外だった。主役も誰だかわからないくらいで、それが著者の狙いなのだろうか」

「みんな本音で話している感じがして面白かった」

「どうしようもないキャラクターばかりなのだが、なんだか可愛く感じられてしまった」

「謎解きに関して、ここは伏線なのかな?と考えながら読むのが楽しかった」


……という感じで、こちらの期待以上に楽しく読んでくださった方が多く、著者の他の作品も読んでみたいという意見が聞こえてきたので、世話人一同たいへんうれしかったです。


その後は登場人物についてや、いちばん好きな場面・台詞はどこかなど、ネタバレ全開でディスカッションしていきます。人間観察力に優れたディヴァインは、とにかく「嫌な人物」を書かせたら天下一品! そののちにキャラクターの中で「誰が一番ダメ人間か」で盛り上がりました。もちろん、謎解き面の魅力にも言及したりと、今回も意見が途切れることなく出て、約2時間があっという間でした。


『跡形なく沈む』の次に読むとしたらどれがいいか、という質問では、やはりデビュー作であり、クリスティが絶賛した『兄の殺人者』と、大どんでん返しがある『悪魔はすぐそこに』が良いのではというご意見がありました。この2作以外にもたくさんおもしろい作品がありますので、ぜひぜひ手にとってみてください。


また、今回特別に翻訳された中村有希さんから参加された皆さんへ特別メッセージを頂戴したので、レジュメに掲載してお配りしました。それ以外にも、参加者のお一人がディヴァインの魅力をがっつり紹介する入魂の小冊子を作成・持参してくださり、世話人や他の参加者のみなさんに配っていただきました。読み応えたっぷりでした!


そして会場を移して二次会へ。今までにも何回かお世話になっているたいへん美味しい中華料理屋さんで、さらにミステリや本のお話をたっぷりして盛り上がりました。もうみなさんの楽しそうなお顔といったら! それにしても、会話の端々に「死体が〜」とか「凶器が〜」とか出てくるので、お店の人はきっと怪訝に思っている気がします(笑)。


ということで、今回もたいへん和気藹々とした読書会となりました。今回初めて読書会に参加するという方も何人かいらっしゃったのですが、とても楽しんでくださったようで何よりでした。次回の開催は来年を予定しております。どうぞお気軽にいらしてくださいませ〜。




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