【再掲】第11回多摩南読書会のご案内

みなさま、こんにちは。

 次回の多摩南読書会はイサベル・アジェンデ『日本人の恋びと』を読みます。白状すると、この本をジャケ買いしました。きっと他にもそんなかたがいらっしゃいますよね? 表紙に使われているのはゴッホの「花咲くアーモンドの木の枝」です。美しい水色の背景に力強く伸びやかに描かれた枝。アーモンドの花ってこんななのですね。

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 さて、どんなお話かというと——


 高齢者向けレジデンス〈ラークハウス〉の介助スタッフとして働きはじめたイリーナは、あるとき入居者のアルマに、レジデンスの仕事とは別に、アルマの個人秘書になって助けてほしいと頼まれる。そして、齢八十を超えてなお創作活動を続ける彼女のためのさまざまな雑用や私物の整理などを手伝うようになった。
 入居者の多くはつましく暮らす高齢者だが、このアルマは経済的な余裕が生む優雅さと、これまでの人生において他人に命令をして暮らしてきたことをうかがわせる高慢さが同居した、どこか謎めいた人物だった。たとえば、アルマの財力をもってすればいくらでも高価な美術品をレジデンスにおけたであろうに、なぜか雪の荒野にならぶ黒っぽい小屋と電柱と電線、たった一羽の黒い鳥が描かれた寂しげな絵を飾っていた。それには「イチメイ・フクダ」という日本人名が署名されていたが、この人物について彼女は多くを語ろうとしない。
 アルマには、ほかにも謎があった。週に一度、送られてくるクチナシの花と、差出人の住所を隠すためなのか二重の封筒で届く手紙。ときどき信頼するイリーナやかわいがっている孫息子のセツにも行き先を告げずに"お忍びの旅"に出かけることもあった——

 本書を読み進めると何やら謎だらけのわがままな、でもどこか惹かれる老婦人のそれまでの人生が少しずつ明かされていきます。ポーランド生まれのユダヤ人であること、ナチスの魔の手が迫る前にアメリカの親類宅に預けられ、祖国に残った両親の生死もわからないまま成長したこと、そこで日本人の庭師親子と出会ったこと……

 やがて時代は大きく動き、アルマは自らの命をつないでくれたアメリカで、パールハーバー後の日系人の苦悩に触れ、自らも大切なものを失って苦しむことになります。

 第二次大戦、日系人収容所、日本の敗戦とその後の日系人たちの暮らし。歴史のうねりが人々の命を奪い、絆を引き裂いた時代でした。しかし、本書では、そんな時代だったからと一言で片づけることのできない、人種にかかわらずどの人にも日々の営みがあったのだと感じさせる描写が続きます。愛する家族と過ごした時間、幼き日に交わした約束、抗えない大きな力に翻弄される運命——人はどれだけの過去を、そして歴史を背負って生きていくのでしょう。

 ふだんは参加者のみなさんのご負担が重くならないよう、課題書にはできるだけ文庫か、比較的手に取りやすい価格の単行本を選びます。ところが、本書は本体2,900円+消費税というお値段です。でも、ぜひ読書会でみなさんと一緒に本作品を読み、語りたい。そこで多摩南読書会は考えました。ほんとうにちょっぴりだけど今回にかぎり参加費を値下げして、そのかわりひとりでも多くのかたに来ていただこう、と。そんなわけで、いつもは一般1,000円、U-22 500円のところ、今回は半額の一般500円、U-22 無料で読書会を開催します。ぜひぜひご参加ください。

日    時    2018年5月12日(土)15〜17時(会場受付は14時45分から)



場    所  
 JR/小田急 町田駅近くの会議室

    (詳細はお申込の方に別途メールにてご案内いたします)

課題書 『日本人の恋びと』イサベル・アジェンデ著、木村裕美訳、河出書房新社

定    員    20名(初参加者優先枠あり)

参加費 一般 500円  U-22 無料

 

  • 飲み物などはつきません。会場に飲料の自販機あり。
  • 読書会後の二次会は特にご用意しておりません。本会に全力参加でお願いいたします。


お申込方法

4月8日(日)20時から申込を受け付けます。

多摩南読書会専用アドレスtamaminamidokusho@yahoo.co.jp

メール(件名:「多摩南読書会5/12」)でお申込ください。

…………お申し込みフォーム…………

「多摩南読書会5/12」に参加します。

お名前(ご本名フルネーム)

ご連絡先電話番号

ご連絡先メールアドレス

種別1 : 一般 / U-22

種別2:リピーター/初参加

……………………………………………

  • 種別は該当するほうを残してください。
  • 課題書は各自ご用意の上、必ず当日までに読了してご参加ください。
  • 先着順で受け付け、定員に達した段階で締め切ります。以降はキャンセル待ちを受け付けます。
  • 多摩南読書会に初めて参加される方がお申し込みしやすいよう4人分の「初参加者優先枠」を設けます。5月5日(土)までに「初参加者優先枠」が埋まらない場合は、キャンセル待ちをされているリピーターの方にご案内をいたします。

*多摩南読書会世話人*

片山奈緒美(ツイッターアカウント @naolynne

青柳恭子(ツィッターアカウント @beth999ak)

大戸敦子(ツィッターアカウント @rolling_avocado


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全国翻訳ミステリー読書会

海外のミステリー小説専門の読書会です。 開催地は北海道から九州まで全国に広がっていて、多くの参加者にお楽しみいただいています。 参加資格は課題書を読み終えていることだけ。ぜひお近くの読書会にご参加ください。 また、読者が選ぶ翻訳ミステリー大賞、略して『どくミス!』を年に一回(4~5月)開催しています。 こちらも併せてお楽しみください。

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