投票コメント全紹介 その4
- 2015年、変な本格フランス・ミステリを読みたいならこれ!
第27位『アンブローズ蒐集家』フレドリック・ブラウン/圭初幸恵(訳) 論創社
- 本当によく出してくれたという一冊。80年代に創元の戸川さんがSRの例会に来てこの未訳の一冊についての対応を某会員の方から尋ねられ、「いつか出したい」と答えられていた図を思いだす。結局、創元からは出なかったが、それでもようやく日本語になった。有難う、論創さん。エド・ハンターシリーズの中短編の発掘もお願いします。
第27位『ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密』ポール・アダム/青木悦子(訳) 東京創元社
第27位『神の水』パオロ・バチガルピ/中原尚弥(訳) 早川書房
第27位『完璧な夏の日』ラヴィ・ティドハー/茂木健(訳) 東京創元社
第27位『九尾の猫』エラリイ・クイーン/越前敏弥(訳) 早川書房
- 最後、エラリイに共感しない読者はいないんじゃないかと思えた。そして、それに被さる締めの言葉にも救いを感じる。責任のあるエンディングだったことが決め手。訳注なのか原書の注意書きなのか分からないが補足内容も、ドイツ語ルビも楽しく読めた。なお、ホッキョクグマが登場したせいか「血球まで凍る寒さ」を「肉球まで」に空目して格調を一瞬瓦解させてしまいました。
第27位『強襲』フェリックス・フランシス/北野寿美枝(訳) イースト・プレス
- 年に1回、ディック・フランシスを読んで背筋を伸ばした記憶が甦ります。親父さんの世界を復活させてくれた元物理教師の息子に感謝。出版してくれたイースト・プレスさんにも感謝。続刊熱望。
第27位『クッキング・ママの最後の晩餐』ダイアン・デヴィッドソン/加藤洋子(訳) 集英社
- 「クッキング・ママは名探偵」(1994年11月)で始まった、クッキング・ママシリーズの最新刊でとりあえずの最終巻。この作品でコージーと出会い、一人息子の子育ての大変さに共感し、一緒に成長してきた気分の私にとって、このシリーズをもう読めないかもというのはさみしい限り。またいつかその後をふっとお知らせしてくれたらいいのにね。20年余、ずーっと翻訳し続けて下さって、発行して下さって有難うございました。
第27位『ケチャップ・シンドローム』アナベル・ピッチャー/吉澤康子(訳) 早川書房
- 十代ならではの、みずみずしい感性に満ち溢れた、すぐれた作品だと思います。主人公と同じ年の頃に読みたかったです。いちばん最後の、ドットの日記にはぞっとさせられました。耳が聞こえない彼女だからこそ感じることのできる、視覚からの情報で、大人やほかの誰も感じ取ることのできない真実が語られていたからです。罪を抱えながら生きていかなくてはいけない少女、それを見守る少年。愛、友情、思春期の少女の複雑な心理が描かれており、感動しました。
第27位『災厄の町』エラリイ・クイーン/越前敏弥(訳) 早川書房
- 初めて読んだエラリイ・クイーン作品。ぐいぐい引き込まれて一気に読みました。他の作品も読みたくなりました。
第27位『殺人者たちの王』バリー・ライガ/満園真木(訳) 東京創元社
- 三部作の二作目ということでとてもスリリングな場面で終わります。犯罪者の父を持つ少年の戸惑う心が丁寧に描かれてミステリーでありながらヤングアダルトの小説としても上手いと思います。
第27位『新車の中の女』セバスチアン・ジャプリゾ/平岡敦(訳) 東京創元社
第27位『そして医師も死す』D・M・ディヴァイン/山田蘭(訳) 東京創元社
- フェアプレイに徹した作品の魅力もさることながら、わかりやすい文章も好みです。
第27位『調教部屋』ポール・フィンチ/対馬妙(訳) 早川書房
- 主人公のはみだし刑事にぐっときました。ダメンズ好きな方、ぜひ!
第27位『なんでもない一日』シャーリイ・ジャクスン/市田泉(訳) 東京創元社
第27位『ネメシス 復讐の女神』ジョー・ネスボ/戸田裕之(訳) 集英社
- シリーズの他の作品も全部翻訳してほしい!
第27位『バタフライ・エフェクト』カーリン・アルヴテーゲン/ヘレンハルメ美穂(訳) 小学館
- 読み終えたとき、ふっと心が軽くなりました。いつまでもやさしく心に響きつづけるこの作品がとても好きです。
第27位『薔薇の輪』クリスチアナ・ブランド/猪俣美江子(訳) 東京創元社
- 真相はなんとなく気がついた。が、最後はこう来たか、さすがはブランド。読後の後味の悪さが、やがて快感になってくるという不健康さ。年齢のいった独身女には相変わらず残酷なブランドだが、過去に何かあったんだろうな、と憶測してしまうところも、魅力の一つ。
第27位『ポアロとグリーンショアの阿房宮』アガサ・クリスティー/羽田詩津子(訳) 早川書房
- 新作、とは言えませんがミステリの女王の幻の原稿初書籍化ですから推さない訳にはいきません。
第27位『ホテル1222』アンネ・ホルト/枇谷玲子(訳) 東京創元社
- シリーズものでずっと再開を楽しみにしていました。途中の未訳作品も是非とも読みたく、出版社様にどうぞお願いいたします。
第27位『まるで天使のような』マーガレット・ミラー/黒原敏行(訳) 東京創元社
- マーガレット・ミラーの世界に迷いこんだハードボイルドの私立探偵といった雰囲気が良かった。人物の描写も細やかで、訳文もたいへん読みやすく、すっと物語の世界に入りこめた。
第27位『ミスター・ホームズ 名探偵最後の事件』ミッチ・カリン/駒月雅子(訳) KADOKAWA
- 老いたホームズはちょっと痛々しかったですが93歳のホームズの話が読めるなんて思ってなかったので・・・93歳のホームズもいいよ!
第27位『ミニチュア作家』ジェシー・バートン/青木純子(訳) 早川書房
第27位『もうひとりのタイピスト』スーザン・リンデル/吉澤康子(訳) 東京創元社
第27位『愛の炎が消せなくて』カレン・ローズ/辻早苗(訳) 二見書房
- 文春、早川、扶桑社と版元ジプシーしてきたカレン・ローズの最新作です。タイトルのベタなロマンス感からは裏切られる事間違いなし!
第27位『悪夢はめぐる』ヴァージル・マーカム/戸田早紀(訳) 原書房
第27位『偽証裁判』アン・ペリー/吉澤康子(訳) 東京創元社
- 前作を上回る白熱の法廷シーンに手に汗握る思いでした。続編の邦訳が待ち遠しいです。
第27位『支配者 チューダー王朝弁護士シャードレイク』C・J・サンソム/越前敏弥(訳) 集英社
- 愛してやまない『チューダー王朝弁護士シャードレイクシリーズ』の3作目。登場人物がそれぞれ魅力的で、本作も文句なしにおもしろかった!原書では続きが出ているようなので、翻訳書で読みたいなぁ・・・。
第27位『他人の墓の中に立ち』イアン・ランキン/延原泰子(訳) 早川書房
- まさかの リーバスシリーズ再始動。時代遅れと言われ、定年退職した不安定な立場で時に神妙になりながらも突っ走り、事件解決に奔走するリーバスが年をとっても格好良い最高の警察小説!
第27位『探偵は壊れた街で』サラ・グラン/高山祥子(訳) 東京創元社
- 幻想的なイメージや直感を大事にする女性探偵が主人公という、一風変わったハードボイルド小説。人を選ぶミステリーだと思いますが、ドライな語り口とニューオーリンズの風土、彼女の過去があいまって、とても印象にのこる1冊でした。続きを読みたいので投票します!
第27位『天国でまた会おう』ピエール・ルメートル/平岡敦(訳) 早川書房
- 今年は一作だけとあって、悩みました。前作とはまったく違う語りで、でもぐいぐいひっばっていく筆力は変わらず、さすがです。
第27位『凍える墓』ハンナ・ケント/加藤洋子(訳) 集英社
- 翻訳のすばらしさも含めて、深い余韻の残る忘れがたい作品でした。
第27位『判決破棄 リンカーン弁護士』マイクル・コナリー/古沢嘉通(訳) 講談社
- アマゾンの「ボッシュ」や映画「リンカーン弁護士」と相乗効果でコナリーの世界を構築。圧巻のリーダビリティと思います。
第27位『貧乏お嬢さま、吸血鬼の城へ』リース・ボウエン/田辺千幸(訳) 原書房
- 選ぶならコージーミステリーの中からと決めていました。貧乏お嬢さまは大好きなシリーズのうちのひとつです。
いかがでしたか? ぜひ今後の読書の参考にしていただけたらと思います。2016年も、わたしたちを狂喜させる作品がたくさん出てくることと思います。次回の読者賞でも、みなさまの推しミスを分かち合えることを心から楽しみにしております。
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