投票コメント全紹介 その3
- 法廷+バイオレンスアクションという混ぜるな危険を地で行くような作品でした。展開が早いので先が気になりぐいぐい読まされます。
- 堅苦しい謎解き、犯人捜し、主人公のセリフトーンがコロコロ変わる作品や、某フランスメジャー作家作品趣向ミステリ、北欧系にモタレ気味な昨今にして、爆進中マーベルムービー的なスカッとする喪失感、主人公や脇キャラに充分魅力があり、尚、新人作家であるのが、今回読者賞1位理由。ハヤカワには同著者作品、同キャラ続編刊行を期待したい。
第16位『模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン』M・ヨート H・ローセンフェルト/ヘレンハルメ美穂(訳) 東京創元社
- 楽しみにしているシリーズです。セバスチャンの大迷惑路線で今後も突っ走ってもらいたい!
- セバスチャンみたいな男、近くにいたらイヤだけど、遠くから見ているぶんには最高におもしろい! 笑ってあきれて手に汗握って、ページをめくる手が止まりませんでした。なぜこんなダメ男なのに惹かれてしまうのか、自分でも不思議……
第16位『ユダの窓』カーター・ディクスン/高沢治(訳) 東京創元社
- 古い作品の新訳をありがたく思う世代です。若い方にもカーの面白さを伝えることができたと感じます。新訳の続刊を楽しみにしてます。後押し?応援のために投票します。
- ハヤカワ文庫版が昭和53年3月31日発行なので多分高校生の時に読んだのだと思いますが、当時すでにメイントリックは知っていてそれでも法廷論争がものすごく面白かった記憶があります。新訳になって改めて読んでほとんど忘れていた内容が新鮮に感じられました。
第16位『誰でもない彼の秘密』マイケラ・マッコール/小林浩子(訳) 東京創元社
- エミリー・ディキンソンの少女時代という文芸設定に加え、ガーリー成分の細密充填に枯れたはずの乙女心がキュンキュン吠えるよ。「お兄様の雄鶏(去勢済み)で作るチキンパイ」なんて言葉に惹かれるアナタは、きっとこれが気に入るはず!
- 実在の人物と彼女が遺した文芸作品を使った文芸ミステリと、ナンシー・ドル―のような少女探偵ものの合わせ技。犯人探しだけではなく、主人公であるエミリー・ディキンソンの人生の多くが謎であることもあり、まさに虚実ないまぜの愉しさが味わえる作品です。
第16位『悪意の波紋』エルヴェ・コメール/山口羊子(訳) 集英社
- 物語の終盤に向けてストーリーが急展開し、非常に読み応えのある作品でありました。
- エピソードのラストでタイトル「悪意の波紋」の意味がわかり、納得しました。些細な偶然が人生もたらす事の凄さに圧倒されました。読み終えるのにかなりの忍耐を要しましたが、特に後半から最後までは思わぬ展開で気が抜けなかったです。今回二日で読み終えましたが、自身の記憶力の衰えにより、一気に読まないと理解できなかったでしょう。頭の体操にもなり、読んでよかったです。
第16位『セプテンバー・ラプソディ』サラ・パレツキー/山本やよい(訳) 早川書房
- V.Iは私の人生の師匠です。心身ともにタフな探偵を応援し続けたいと思うので、続刊も出版待ってます。
- 安直で軽薄な題名からは想像しがたい壮大で緻密な叙事詩。全力で巨悪に立ち向かうヴィクに共感し、力づけられる。激動の時代に科学者として生きた女性の姿は強い衝撃とともに深く印象に刻まれ、科学者としてのあるべき姿を示しているようだ。
第16位『偽りの楽園』トム・ロブ・スミス/田口俊樹(訳) 新潮社
- 散々悩んだ挙句、今年はこの作品に投票することに決めました。さすがのトム・ロブ・スミスという感じで、久しぶりに充実した読書ができました。
- 誰もが何か秘密を抱えた中で、ページを繰る毎に少しずつ、少しずつ明かされていく。派手に衝撃的な事件が描かれて解き明かすタイプのミステリーと違い、発端は家庭内のトラブルというような身近なことから各々の持つ秘密へと繋がり、真相と一筋の明かりのような結末への展開が上手く、一気に読みました。
第16位『渚の忘れ物 犯罪報道記者ジムの事件簿』コリン・コッタリル/中井京子(訳) 集英社
- 愛すべきキャラクターがいっぱいで、スラップスティックなコメディが好きな人は楽しめると思います。ジムの元兄今姉シシーとかゲイのチョムプー、ジャーおじいちゃんとか、後半から特に魅力が増します。タイが舞台。コッタリルは西欧人にありがちなアジアに対する「期せずして上から目線」がないところがすごくいいです。コメディだけど、移民問題などにふみこんだ社会派作品でもあります。
- 馴染みのあまりない土地(舞台はタイ)で、けっこうお固く社会派な問題を扱っている。なのにこんなに面白くてキャラクターも立っていて、笑えて泣けて格好よくて!もっともっと多くの人に手にしてもらいたいんです~!
第16位『悪魔の羽根』ミネット・ウォルターズ/成川裕子(訳) 東京創元社
- 複雑な歴史・文化的背景に、入り組んだ人間関係と嘘をつく登場人物たちという、常に最高のミステリーパズルを提供してくれるウォルターズの、期待にたがわぬ一作でした。
第16位『禁忌』フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一(訳) 東京創元社
- タイトルの意味がわかると鳥肌がたちました。表紙の写真もすごい。それにしても刑事さん可哀想…。ゼバスチャンという人物造形が素晴らしすぎます。
- 一気に読んで、さらに一気に読み返した1冊でした。賞の主旨に反するかもしれませんが、事件の結果として、殺されたり酷い目にあった人がいないと言えるのも、ポイントでした。また、必ず読み返したい1冊です。
第16位『猟犬』ヨルン・リーエル・ホルスト/猪股和夫(訳) 早川書房
- 国も違い 、作風も違うが、ヘニング・マンケルの後継者
- ストーリーは展開が早く、しかも論旨が明快で非常に読みやすく、ひとつひとつのシーンが目に浮かんでくる。かといって薄っぺらな訳ではなく、主人公の二人を始め味のあるキャラクター揃いで読み応えがある。これまでの北欧警察小説に比べて読みやすく、理解しやすい作品で、北欧ミステリーの重さが苦手な人にもオススメだ。
次回で最後です。26作品のコメントをご紹介します。
0コメント