第13回福井【マーダー・ミステリ・ブッククラブ】読書会レポート(執筆者・藤沢一弘)
クリスティ愛好家の集まる読書会で起こる事件を描いたミステリー?
これ、翻訳ミステリー読書会で課題書にしないでどうするの?!
これ、翻訳ミステリー読書会で課題書にしないでどうするの?!
という訳で『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』(C・A・ラーマー著/高橋恭美子訳(創元推理文庫))を課題書に、昨年11月に第13回福井読書会を開催いたしました。
[amazonjs asin="4488241050" locale="JP" title="マーダー・ミステリ・ブッククラブ (創元推理文庫 Mラ 13-1)"]
半年も経って「今頃?!」と思われるかと思いますが、待っている方がいらっしゃったと信じ(笑)、その時のレポートをお届けしたいと思います。
本書は、自分には合わなかった高尚なブッククラブに参加したアリシアが、妹のリネットと共に、ミステリー小説を扱う、自身の理想とするブッククラブを立ち上げたところ、アガサ・クリスティ好きのメンバーが集まるもメンバーの一人であるバーバラが失踪。アリシアはクラブのメンバーと共にバーバラの失踪について調べ始めるのだけれど…といった内容のコージーミステリーです。
今回は、読書会自体初めてという方、県外からご参加の方、第0回(福井特別読書会)以来のご参加となる方など、世話人2名を含めて合計9名で開催の運びとなり、参加者の皆さんから、まずは簡単な自己紹介と共に感想を述べていただきました。
- 導入部となる第一部が短くてびっくりしたけれど、つかみでワクワクさせられた。
- 海外ミステリーは子供の頃に読んだホームズやルパン以来で、伏線や真相は全然分からなかった。
- 読書会やクリスティがテーマという事で読むのが楽しかった。
- オーストラリアが舞台だけれど、読んでいてイギリスが舞台かのように感じた。
- シナモンのパンケーキなど、作中に出てくる料理が美味しそう。
- 探偵役のアリシアと失踪したバーバラって似た者同士って感じもする。
- まつげをバサバサとか、こっくりとしたさくらんぼ色、ぐるりと目を回すとかいった表現が面白い。
色々と感想が上がる中、ミステリーにどっぷりハマっている参加者たちからは、失踪事件の真相には早々に気付いたというお声が。
そして、その失踪事件における、ある仕掛けについて気付いたという参加者も。これには一同感心しきりでした。
それにしても主人公のアリシアの妄想と暴走ぶりに対する皆さんの反応が面白かったです。
- 暴走するアリシアが危険な目に合うのではと心配になりながら読んだ。
- 読書会メンバーを募集した際に、応募してきた人を選別する様子は好きになれない。
- (ほとんど)見ず知らずの人のプライベートにずけずけと入り込むのはどうなの。
- 暴走気味のアリシアが好きになれなかったけれど、コージーミステリーと思えば納得。
- 目の前に正座させて、説教したい。
- アリシアの妄想は読んでいて面白かった。
- 暴走しても「あの人ならしょうがないよね」と可愛げのある人物像であった方が良かった。
- そもそもアリシアが暴走しなければ第二の事件は起きなかったのでは。
あれ、主人公なのに思った以上に読者に可愛がられていないような…?
そしてミステリー好き、クリスティ好きの読者からは更なるツッコミも。
そしてミステリー好き、クリスティ好きの読者からは更なるツッコミも。
- クリスティ好きが集まっている割には「その作品、読んでないのかよ」と言いたくなる。
- クリスティをオマージュするのなら登場人物それぞれの視点を入れるとかして欲しかった。
- ミステリーとしては色々と詰めが甘くない?
- 現代が舞台なので、調べものをするならスマホなどでネット検索した方が早いよね。
- 伏線が明らか。クリスティだったら目の前にあってもそれを伏線だと気づかせない。
うーん、おかしい。
きっと、読書会を舞台にした楽しいミステリーについて語り合う事になりそうと想像していたので、なんだか滅多打ちにあっている気分に(汗)。
きっと、読書会を舞台にした楽しいミステリーについて語り合う事になりそうと想像していたので、なんだか滅多打ちにあっている気分に(汗)。
でも、アリシアが自分には合わなかった読書会を颯爽と去る場面は格好いいですし、まだ出会って間もないバーバラのために奮闘したり、真相を知った際にあらわれる正義感など、優しい部分もある、等身大の人間として描かれているのかなとも思ったりしました。
そして、読書会といえば「読書会の様子があまり描かれていなくて残念」といったお声もあり、これには皆さん、思わず頷いていました。
うん、読書会の楽しい様子とか、確かに見てみたかったですね~。
うん、読書会の楽しい様子とか、確かに見てみたかったですね~。
そういえば福井読書会を立ち上げた当初、全然参加者が集まらなかったらどうしようなど、不安や心配になった事を思い出しもしました(笑)。
また、犬好きの参加者からは黒いラブラドールレトリバーのマックスの出番が少なくて残念の声も。
これには他の参加者からロバート・クレイスの『容疑者』(奇しくも本書の訳と同じく高橋恭美子さん!)をお勧めする声もあがっていました。
また、犬好きの参加者からは黒いラブラドールレトリバーのマックスの出番が少なくて残念の声も。
これには他の参加者からロバート・クレイスの『容疑者』(奇しくも本書の訳と同じく高橋恭美子さん!)をお勧めする声もあがっていました。
ところで普段、ミステリーを読まないという参加者からは以下のような質問が。
「フーダニットって?」
「コージーミステリーってどういうもの?」
「コージーミステリーってどういうもの?」
そうですよね。
ミステリー読みだと当たり前の言葉も、普段読まない人には常識では無いんですよね(笑)。
そういった事も改めて気付かせてもらえ、いい勉強になりました。
ミステリー読みだと当たり前の言葉も、普段読まない人には常識では無いんですよね(笑)。
そういった事も改めて気付かせてもらえ、いい勉強になりました。
また、ミステリー読みでない参加者へ、読書会メンバーが事件を調査する様子を『名探偵コナン』になぞらえ、歩ちゃんがアリシアで、コナン君以外の三人がガチャガチャしていると思うと分かりやすいと説明して下さった方もいらっしゃり、目から鱗な視点に思わず皆さん爆笑でした(笑)。
その他、特に印象に残ったのは最終章(エピローグ)について。
果たしてエピローグは必要だったのか、エピローグが無かったらどうだっただろうといった議論が交わされ、それぞれの意見や主張にそれぞれ納得する部分が。
こういった意見交換も読書会ならではですし、決して作品を貶めるのではなく、作品をリスペクトするゆえの愛あるツッコミもまた楽しいものですね。
果たしてエピローグは必要だったのか、エピローグが無かったらどうだっただろうといった議論が交わされ、それぞれの意見や主張にそれぞれ納得する部分が。
こういった意見交換も読書会ならではですし、決して作品を貶めるのではなく、作品をリスペクトするゆえの愛あるツッコミもまた楽しいものですね。
それにしても本書を読むとクリスティを読みたくなるのは間違いありません!
参加者の皆さんからも本書に登場するクリスティの作品を「読んだ」「読みたい」といった声が上がり、読書会終了後、早速その日のうちにアリシアたちのブッククラブの1回目の課題書だった『白昼の悪魔』を購入したという参加者もいらっしゃったようです。
参加者の皆さんからも本書に登場するクリスティの作品を「読んだ」「読みたい」といった声が上がり、読書会終了後、早速その日のうちにアリシアたちのブッククラブの1回目の課題書だった『白昼の悪魔』を購入したという参加者もいらっしゃったようです。
ところで、今回、本書の訳を手掛けられた高橋恭美子さんがコメントを送って下さり、参加者の皆さんにご紹介させていただきました。
高橋恭美子さん、ありがとうございました!
また、訳者あとがきにも記されていましたように、本書が翻訳されるきっかけを作って下さった部長( @AC_Bookclub)さんにも感謝です!
高橋恭美子さん、ありがとうございました!
また、訳者あとがきにも記されていましたように、本書が翻訳されるきっかけを作って下さった部長( @AC_Bookclub)さんにも感謝です!
また、本書は好評につき、続くシリーズ2作目『危険な蒸気船オリエント号』が早くも昨年末に店頭に並び、更に3作目の翻訳も決まっているそうです。
うん、クリスティの作品同様、この先も多くの人に愛されるシリーズになって欲しいですね!
うん、クリスティの作品同様、この先も多くの人に愛されるシリーズになって欲しいですね!
[amazonjs asin="4151300201" locale="JP" title="白昼の悪魔 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)"][amazonjs asin="4488115055" locale="JP" title="容疑者 (創元推理文庫)"]
0コメント